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ブレンドを好む理由、どの段階でブレンドするのか?

 

焙煎士がブレンドを好む理由や、どの段階でブレンドするのか、そして単一原産とブレンドとどちらがおいしいのかについて見てみましょう。

なぜ焙煎士はブレンドを好むのか?

エチオピアコーヒー豆やコスタリカコーヒー豆だけていれたコーヒーを出す店がほとんどないのはなぜでしょう?

簡単に言えば、焙煎士は、コーヒーをできるだけ複雑な味わいにするために、いくつかの異なる種類の豆を使い、最高のコーヒーを消費者にお届けしたいからです。口当たりのいいコーヒー(たとえばブラジル)は、香り(パプアニューギニアを追加)や後味(メキシコアルトラを追加)がないとおいしくありません。コーヒー愛好家は、原産コーヒーの微妙な違いを味わうのを好みます。けれども、コーヒー店ができるだけ多くの人を満足させ売上を増やそうとするならば、口当たりがよく、香りがあり、後味も良く、おいしいクレマ入りで、酸味があり、滑らかだが苦味がない、そういうエスプレッソをお客様にお出しするでしょう。

焙煎士を、自分の看板料理を作るためにたくさんの素材を混ぜ合わせるシェフだと考えてみましょう。それらの素材は(話を進めやすくするため、素材はセロリ、クリーム、バター、かぼちゃ、スパイス、それに在庫品だとしましょう)、それだけではあまり魅力的な素材ではありませんが、一緒にして適度な時間をかけて調理すると、驚くほどおいしいクリームスープに生まれ変わり、評判のいいレストランではボウル1杯が20ドルで売れます。シェフが素材の相乗効果を生み出そうとするように(最終的に出来上がったものが個々の部分を足しただけのものよりもずっといいものができる)、焙煎士も相乗効果を求めているのです。

焙煎士は、相乗効果を生むためにブレンドすることもありますし、違いを出すためにブレンドすることもあります。卸売業者が、消費者が飲みたいコーヒーはどんなものだと考えているかによって違ってきます。焙煎士は、ブレンドすると素晴らしい味になるエチオピアとブラジルのような組合せや、スマトラとケニヤのようにそれぞれがまったく対照的な組合せを見出し、それらの類似性と相違性を基にしてブレンドを作り上げるのです。

ブレンドの過程で実に興味深いのは、焙煎士のブレンドはときに応じて変わらなければならないということです。そして、大手のコーヒー会社は、ときと共にブレンドの味が変わることがないようにするために、常にブレンドの味を確認しています。例えば、焙煎士が看板ブレンドに特定の農園で作ったガテマラの豆を使うとします。時とともに、その農園の豆で作った焙煎豆の味が様々な要因で変わることがあります。気候が変化したり、豆の発酵や乾燥や保存の方法が変わったり、土壌条件が変わったりによって変わります。そのことによって、焙煎士のブレンド全体の味が影響を受けます。さて、焙煎士はブレンド全体の味を変えたくありません。なぜなら、そのブレンドを欲しがっている上得意の卸売業者がいて、他方では卸売業者は自分たちに金を払ってくれる顧客を常に満足させなければならないからです。そのため、焙煎士はそれらのガテマラの豆を常に吟味し、豆を別のものに変えるか、ブレンドに入れる豆の分量を変えるかすることになります。

焙煎士にとって黄金のルールは、フレーバープロファイルを作り出し、それを守ることです。

過去に作られ、今でもトレーニングルームで使われているブレンドの例です。
*2種の豆:メキシコ、ホンジュラス
*4種の豆:ブラジル、インド、エチオピア、チモール

;ブラジル、メキシコ、ホンジュラス、インド(どちらもアラビカとロブスタ)
*5種の豆:コスタリカ、コロンビア、エチオピア、ケニヤ、パプアニューギニア
*7種の豆:ブラジル、チモール、エチオピア、ホンジュラス、ガテマラ、ニカラグア

コーヒーはいつブレンドするのか─焙煎の前か後か?

焙煎の前にブレンドすると、それぞれの原産豆を焙煎してからブレンドするのでは達成できない独自の風味が融合さという意見もあります。焙煎の前にブレンドされた豆は、通常、すべて同じ色になります。すべての豆が同時に焙煎するのに向いているとは限らないのだから、それぞれの原産豆の風味を最大限生かすべきだという意見もあります。焙煎の後でブレンドされた豆は、通常、それぞれの色が異なっています。

一般的には、焙煎の後でブレンドします。その理由は

・小さな豆と大きな豆とは煎り具合が違う

・硬さや密度が違う豆は煎り具合が違う

・水分の量が違うと煎り具合が違う

私達は古い世代の焙煎士なので、正直に言って、正しい答えが何かは分かりません。最近では、どの豆を使うかによっていずれかのブレンド法を選ぶ焙煎士が多いようです。

単一原産とブレンド━どちらのタイプのコーヒーがベターか?

純粋主義者ならば、優れた単一原産豆に勝るものはなく、不注意に別の豆と混ぜたりして、コーヒーの素晴らしさを損ねないように注意しなければならない、と言うでしょう。

しかし、オーストラリアのコーヒー会社の多くはブレンドを販売していますので、議論の余地はあるものの、ブレンドの方が勝るのでしょう。これらのコーヒー会社は、おそらく、卸売でコーヒー店に販売しており、その次にはコーヒー店のお客さんに、単一の原産豆とは違う複数の要素から成る複雑な味わいのするコーヒーを提供しているのです。

しかしながら結局のところ、あるコーヒーが別のコーヒーに勝るとか、あるブレンドが別のブレンドに勝るとかは誰も言えません。私たちに分かるのは、中程度の機械が家にあって、これまでずっとブレンドを飲んできた後で単一原産豆を買って飲んでみれば、新鮮で、間違いなく人生を豊かにしてくれる経験をすることができるということです。

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